死を待つ人へ

                                ☆





わたしの苦しみは、









死を悲劇だと思っていたこと。











わたしの苦しみは、









死を悪だと思っていたこと。









今、思えば、





わたしが恐れていたのは、「死」ではない。








わたしが恐れていたこと、それは、














「悪」が起こること。












わたしの苦しみは、











生きることが、善いことだったこと。











わたしの苦しみは、











死ぬことが、悪いことだったこと。











すべての苦しみは、











生が善であったこと。











死が悪であったこと。










わたしの苦しみは、













生かそうとしていたこと。















ひとりの人を、生かそうとしていたこと。













わたしには、花を咲かすことはできない。










また、花を枯らすこともできない。











それは「命」が決めること。











ひとりの「命」が死を選んだのなら、











わたしはそれを尊重したい。













死んでいいし、死なせていい。















死は悲劇ではない。











死んでいいし、死なせていい。














死は悪ではない。