スケボーにブレーキはない。
☆
大人になって、心から学んだことがいくつかある。
今日は、スケボーの話をしたいと思う。
2年くらい前、わたしはスケボーにはまっていた。
その頃わたしは、サーフィンに乗れるようになりたくて、体幹を鍛えるためにスケボーを始めた。
サーフィンのために始めたことだけれど、スケボーはサーフィンと違って、波に飲まれることがないし、
なにより乗っていられる時間が長いので、わたしはすぐに好きになった。
どこかへ遊びに行くときは、いつもスケボーを持っていって練習した。
スケボーにも普通に乗れるようになってきた、ある夏の日、
わたしは友達と遊びに出かけ、ある見晴らしのいい場所に連れて行ってもらった。
そこは、冬場スキー場として使われている場所で、夏場は自由に開放していた。
その日は平日のせいか、わたしたち以外に誰もいなかった。
スキー場の端の方には、歩道のようなアスファルトの道があった。
坂に沿って、長い歩道がずっとつづいている。
それを見て、少し抜けていたわたしは、
ちょうどその時も、スケボーを持ってきていたので、
友達に「ちょっと滑るの見ててー!!」と言って、滑ることにした。
どこまでも続く坂道を見て、とてもワクワクしていた。
わたしは、デッキの上に片足を置き、もう片方の足で思い切り地面を蹴り、坂道を滑りだした。
道路もきれいだし、順調な滑りだし。
スピードがついてきて、風が気持ちいい。
どんどんスピードが上がっていく。
坂道だから、乗ってるだけで加速して楽ちんだなー。
そう思い、そこで気づいた。
「あれ、スケボーってブレーキがない。どうやって止まるんだっけ?」
背筋が凍った。
わたしは坂道での減速方法も知らず、
スケボーに乗るという、大失敗を犯してしまったのだ。
そこまで急な斜面でなければ、足でブレーキをかけることができる。
でも、それを気づいた頃には、坂で加速し過ぎてしまっていて、
足でブレーキをかけることなど、到底できなかった。
どうしようか考えている間にも、どんどん加速していく。
もう、これ以上スピードが出ると本当にやばい、大変なことになる。
そう思った。
何秒も考えている時間はなかった。
とっさの判断で、わたしはスケボーから飛び降りた。
降りると同時に、やはりスピードが出すぎていたので、
わたしは派手に転び、アスファルトに身体を打ち付けられた。
痛すぎて、しばらく動けなかった。
骨折かなにかしていると思ったのだけれど、肘と膝とお腹に、ひどい擦り傷があるだけだった。
「あれだけ派手に転んだのに、これで済んでよかったね、、」
友達にそう言われて、わたしもそう思った。
その時の傷は今も残っている。
この出来事で学んだことというのは、
普段人は、自転車でいうならブレーキのようなものを使っていて、
「スケボーにはブレーキがない。」
「坂道で乗り物は加速する。」
こんなこと、当たり前のことなのかもしれない。
だけど、わたしはこれを、死ぬ思いで「体験」したのだから、
この体験のあとから、わたしは、
スケボーとは関係ないけれど、波の強い海で遊ぶときも、気をつけるようになった。
人生において人は、
失敗したくないから、人の助言を聞く。
でも、わたしはあの時初めて、
スケボーにブレーキがないことに気づいたように、
教科書や誰かの言ったことではなく、
自分で思うようにやってみて、
わたしはこれからも、
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