銀座3丁目、美容室の女たち。

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今日は私が中学生の頃からお世話になってる、美容室での1コマを書いてみました。



私のママは生前、銀座でホステスをしていたのですが、その影響で私はずっとママと同じ銀座の美容室にお世話になってるんです。



だからそこの美容師さんたちは、ママのことも私の成長も中学生の頃からずっと知っているんですね。



なのであの美容室は私にとって、とても特別な場所で、そんな私の美容室での日常をシナリオ風に書いてみました^^


(あと今日の話は、真面目な話じゃないです。笑)





☆登場人物☆





そよ



中学生の頃から数ヶ月に一度はこの美容室にきて、ここ数ヶ月分の話をするというのが恒例の行事になっている。


そのため、住む場所が変わっても、表参道でヘアカラーをするようになっても、カットだけは必ず、わざわざこの美容室でしている。


ちなみに銀座はそよの庭。(ママの仕事の関係で6年ほど住んでいたので。)


そしてよく出没する場所は、やはり銀座の晴海通り。





(↑ 椿の帽子ってどう?笑)





ママ



そよのママ。生前は銀座でホステスをしたり、モデルをしたりしていた。


また銀座時代はほぼ毎日、この美容室に通う。(銀座の女にヘアセットは必須なので。)


好きなものは、バーキン、ハリーウィンストンの指輪、カルティエの時計etc...。





(↑この頃、47歳くらいだけど、見えなーい!)





みや先生 



そよのママ&そよを中学生の頃から担当している美容師。(多分)40代。

長年この美容室に勤めていることから「先生」と呼ばれている。


明るい茶髪のロングヘアと濃いめのマツエクがトレードマークで、いつも包容力のある微笑みを浮かべている。

得意なセットは「夜会巻き」。










ここは銀座の外れにある、とある美容室。


40年以上続く老舗であり、いろんな女たちの物語が交差する場所(ところ)。


そして今日も、一人の女と一人の美容師が、女の人生について語り合う。





◯銀座、とある美容室(昼)



ヘアカットをしながら世間話をする、みや先生とそよ。



そよ「みや先生は、最近どうなのー?付き合ってる人とかいるの?」



みや先生「付き合ってはないけど、会ってる人はいるよー。(友達以上の関係で)

でも付き合っちゃったら、あの人とはやってけないだろうなって感じ。

だから今のままでも結構良いかなー」



そよ「あー、分かる。なーなーな関係って、結構居心地良かったりするよねー。

それに、付き合わない方が長続きできたりする関係性もあるし」



みや先生「そうそう!!そうなのよ!」



そよ「付き合ったりとか、結婚しちゃったからこそ出てくる悩みってあるよね。

付き合ってるのにあれしてくれないとか、旦那なのにこれしてくれないとか、結婚してるのにこんなことされた!とかさ。(未経験者は語る。)


そういう意味では付き合ったりしないと、あんまり期待がない分、無駄な悩みが減るよね」



みや先生「そうそうそう!!だからそれでいいのよねー!」



そよ「てか、みや先生って、めっちゃ尽くす女じゃない?笑」



みや先生、何で分かったの?という表情で一瞬固まる。



みや先生「そうなの、私って尽くしちゃうんだよね。分かる?」



そよ「分かるー!!なんか何も言わずとも、めっちゃ尽くす女オーラが溢れてる!!」



みや先生「そうなのー、尽くすのはいいんだけど見極めが難しいというか、最終的にお母さんになっちゃうんだよねー」



そよ「ギャハハハハ!!ママになっちゃうのねー!笑

でもそういうのって、(潜在的な)需要と供給がちゃんとマッチしてるんだよねー!笑」



みや先生「そうなのよねー!」



みや先生、だから困るのよね、という口調で苦笑する。







二人が会話をする後ろで、60代〜70代の女性がパーマの機械に頭を突っ込みながら、アシスタントの美容師たちから、二人掛かりで足を揉まれている。



60代もしくは70代の女性は、頭にパーマを当てながら椅子に完全に脱力して寝ており、アシスタントの美容師たちは床にひざまづき、女性の膝から下をマッサージしている。

一人は右足を、もう一人は左足を無表情で揉んでいる。

その姿は女王の足を揉む、どこかの国の奴隷を彷彿とさせる。



そよ「え、ここって足のマッサージもしてくれるの?美容室なのにすごいね。

でも青山あたりの美容室だったらさ、絶対に見れない光景じゃない?笑」



みや先生「まず青山あたりの美容室だったらさ、美容師が床にひざまずかないよね。笑」



一度、奴隷のように見え始めると、そよにはアシスタントの女性たちが、女王の足を揉む奴隷にしか見えなくなり、吹き出しそうになる。



けれど懸命に職務をこなすスタッフに向かって「奴隷みたい!笑」と形容するのはさすがに失礼なので、そよは必死に笑いを堪え、話題を変えることにする。







そよ「そういえば、YちゃんとKさんの二人、結婚したよね!

Yちゃんバツイチだし子供も大きいし事実婚とかでもいいのにさ、まさかまた結婚するとは思わなかった!」



(Yちゃんとは、そよのママが銀座で働いていた頃の元ホステス仲間の女性。

Kさんは以前、そよのママと同じ店で黒服として働いていた男性。つまり銀座の同業者同士の結婚。)



みや先生「ねえー!」



そよ「てかKさん(黒服の男性)とか最初の頃、野良犬みたいだったらしいよね!

Yちゃんも最初、野良犬を拾ってきたみたいな感じだったって言ってたし。笑」



みや先生「そうそう!!Yちゃんに連れられてKさん、ここに髪切りに来てたんだけど、最初の頃、本当、野良犬みたいだった。

笑わないし、愛想ないし、目つき悪いし、怖かったわー。

今は本当、丸くなったっていうか別人よー」



そよ「ねー!!そんな野犬みたいな男が、Yちゃんの献身的な愛でそれだけ変わったんだから、愛の力って本当すごいよねー!!

みや先生もいっそのこと、野犬みたいな男、拾ってきたら?笑」



みや先生「いやー、いるかなー、そんないい野犬。苦笑」







そうこう話をしているうちに、カットが終わる。

そしてカットの終わった髪を鏡で見て、そよはあることに気づく。



そよ(心の声)「え、うそ、待って、髪短く切りすぎたかも…

セミロングにするつもりがミディアムになってない!?

話に夢中で気づかなかった!!3センチ切りすぎたー!!泣

どうしよーう!かわいくなーい!泣 」



みや先生「そよちゃん?こんな感じで大丈夫?」



みや先生、三面鏡を使い、そよに後ろの髪の長さを見せる。



そよ「あ、はーい、大丈夫でーす。ありがとうございまーす!」



切った髪はどうにもならないので、努めて明るく振舞うそよ。



みや先生「じゃあ最後に、スタイリングするねー」



みや先生、ヘアアイロンを使い髪をスタイリングする。

その姿を鏡で見て、あまりの髪の短さにギョッとするそよ。



そよ(心の声)「はあ…どうしよう…

ロングとセミロングだったらそこまで変わらないけど、セミロングとミディアムの違いは大きすぎるって…

しかもこの長さって、一番半端で可愛くないやつじゃん。

なのにあと数ヶ月はこの髪型でいないといけないなんて…胸が苦しい、心が痛い…泣」





◯美容室、受付



みや先生「じゃあ今日は、シャンプーカットで6200円でーす!」



そよ「はあーい、ありがとうございましたー!」



美容師一同「ありがとうございましたー!!」



そよ(心の声)「たった3センチで、こんなに心が揺れるなんて…

たった3センチ、されど3センチ…

さっきまでウザかった数センチが、今はこんなに恋しいよ…泣」







ここは銀座の外れにある、とある美容室。


40年以上続く老舗であり、いろんな女たちの物語が交差する場所(ところ)。


そして今日も、一人の女と一人の美容師の、髪と男と人生は、一筋縄ではいかないのであった。






(終わり)







ちなみに、カット後3日くらいは、


「もう無理…一生誰にも会いたくない…」ってくらい落ち込んでたんだけど、


1週間くらいしたら逆に「あれ、いい感じかも。いや、前より全然良い!!」って気分になった。笑  


女心って本当、移ろ気だよね、、笑





それにしても美容室って、恋愛話に花が咲いたり、ゴシップが繰り広げられたり、


いくつになっても女性は綺麗でいたかったりと、女のすべてが詰まった場所で、ほんと最高だよね!!





あの美容室大好きなので、美容室シリーズまた書くかも!!


じゃ、またね!!





 ↑現在の髪の長さ。(2ヶ月でめちゃ伸びた。笑)