バタフライ・エフェクト

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Butterfly effect / バタフライ効果




バタフライ効果とは、力学系の状態にわずかな変化を与えると、



そのわずかな変化がなかった場合とは、その後の状態が大きく異なってしまうという現象。



「ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきは、テキサスで竜巻を引き起こすか?」



という仮説を用いて表される。









この間、ある女性からメッセージをもらった。



ここではその方のことを、Aさんと呼ぶことにしよう。



メッセージの内容は、以前私が書いたブログに、勇気をもらった、ありがとう、



とお礼を伝えてくれているものだった。



その記事は、私がエジプトにいた時のもので、Aさんの言っている箇所というのは、



私がエジプトでお世話になったおじさんから聞いた、彼の甥とその奥さんの国際結婚の話。



(詳しい話は「エジプト日記2」という記事に書いてある。)



話の内容を簡単に説明すると、エジプトへ旅行に来た20代のスイス人女性が、



宿泊していたホテルのスタッフのエジプト人男性に一目惚れしてしまい、



言葉も通じないし、何の根拠もないけれど、彼女の直感だけで彼をスイスに連れて行き、



自分のお金で彼を語学学校に通わせ、スイスで暮らせるようにさせて、



その後、その彼と結婚した、という話だ。







Aさんに何故その話が響いたのかというと、



その時のAさんの状況にも、似たようなものがあったらしい。



Aさんは去年行ったドバイで、ある男性と出会い恋に落ち、



そして急激な展開だけれど、その数ヶ月後にその男性と宗教的に結婚したらしいのだ。



けれどAさんには当時、その男性とのことで思い悩むようなことがあったらしく、



そんな時に、私のエジプトでのブログを読んでくれたらしい。



詳しい話はAさんに許可をもらったので、彼女のメッセージの一部を抜粋したいと思う。







“ 彼、お金全くないし、お互いつたない英語でしかコミニュケーションとれんし、遠距離やし、



コロナで会いに行くはずだった旅行も延期…



お金ないから、めっちゃ私、彼にお金送ってて、



男にお金をあげるって行為が、私の今までの価値観や常識では、あり得んことで、



とかなんとか、色々モヤモヤしていた時期に、



そよちゃんのブログ読んで、めっちゃ勇気もらったんよ。



女性が彼を自分の国に呼んで、語学学校に通わせて…って記事。



こんな人がおるんや、この女性みたいになりたい!って思ったのよ。



誰のお金とか、お金は男が稼ぐものとか、謎の価値観捨てたいと思って。



なんかモヤモヤが吹っ切れたのでした。”







あの話はその当時、好きな人との言葉の壁に悩まされていた私が、



とても勇気をもらったから書いたのだけれど、



かなり特殊なケースの国際結婚の話だったので、



こんな変わった話、共感する人なんているのだろうか、と思っていた。







もしかしたら、誰にも伝わらないかもしれない。



誰にも伝わらないのならば、そもそも書く意味なんてあるのだろうか…



そんなことが時折、頭に浮かんでは消えていった。







書くということは、自分の気持ちや伝えたいことを、言葉に翻訳する作業な訳だけれど、



うまく言葉に表現できないときは、とてもしんどい作業なので、



私は時々、そんな風に弱気になりつつ書いている。



だから、Aさんからのメッセージはとても嬉しかったし、私にいくつかの気づきを与えてくれた。







この経験から気づいたことは、三つある。







まず第一に、自分の気づきは、誰かの気づきにもなるということ。



自分が何かに悩んでいたら、同じようなことで悩んでいる人がいるし、



そして自分が何かに気づいたら、同じようなことが気づきになる人がいるということだ。



つまり、自分の気づきは、自分だけの気づきではない。







そして第二に、自分の気づきや、勇気をもらった話は、人に共有した方がいいということ。



何故ならその話や経験は、誰かの気づきや勇気にも繋がっているから。



だから、この話は自分だけのもので、他の人には関係ない、



と大切に胸にしまわずに、人に共有したほうがいい。







そして第三に、これが一番大切なことだけれど、



誰かが、自分の心に従って生きるとき、



その波紋は、時間や空間を超えて、地球の裏側までも広がるということ。



何故なら、10年以上も前にスイス人の女の子がした勇気のある行動が、



10年以上も後に、地球の裏側の私やAさんの勇気になっているからだ。







彼女は有名な人ではないし、私は彼女の名前すら知らない。



だけど私は、そんな名前も知らない10年前の女の子から、



その時の悩みを吹き飛ばすくらいの、そんな勇気をもらったんだ。



そしてそれに心を動かされた私がその話を書いて、それを読んだAさんに繋がり、



そして、もしかしたらこの先、その女の子から影響を受けた私やAさんのする行動から、



何らかの影響を受ける人もいるかもしれない。







彼女はきっと、自分のした行動が誰かの勇気になっているなんて、知りもしないだろう。



だけど彼女が10年前に放った波紋は、静かにだけど確実に、国や時代を超えて広がっている。









だから何が言いたいのかというと、あなたが今している行動だって、



10年後、地球の裏側の誰かの勇気になっているかもしれないということだ。









今していることが、明日、もしくはもっと先に、



この世界の誰に影響を及ぼすかなんて、誰にも分からないのだから。













Aさんからの話をきっかけにして、気づいたことがある。







それは、私たちは毎秒、毎瞬、



この世界という名の水面に「石」を投げているということ。






「石」とはつまり「意志」ということで、



私たちの選択や行動の下に、どんな「意志」があるのかということだ。







怖れから石を投げるのなら、世界に怖れの「波紋」が広がり、



喜びから石を投げるのなら、世界に喜びの「波紋」が広がっていく。









だから、誰かが心に従って生きるとき、その影響は計り知れない。













「ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきは、テキサスで竜巻を引き起こすか?」









以前の私だったら、そんなこと有り得ないと言ったかもしれない。









だけどもし、今の私がそう聞かれたのなら、こう答える。















「その可能性は、十分にある」